人だかりの中を掻き分け目指すところはただ一人。
何処にいたって見つけられる自信がある。



「妙ちゃん!」

「九ちゃん!」



手を振り駆け寄ってくる彼女、本当に後ろに花が見えるくらい可愛らしい。
駆け寄って抱きしめたいけれど精一杯の理性で我慢する。
変わりにキュッと彼女の手を握る。
にっこり笑って「おかえりなさい」なんて言う。
彼女の隣では誰かががブツブツ言ってるんだけど、僕は彼女から目を離さない。


「修行お疲れ様」

「うん。僕、妙ちゃんに話したいこといっぱいあるんだ」

「ふふ、じゃあお家に戻ったら沢山聞かせてね」

「もちろん!」


「あっれー?もしも〜し?見えてますかー?」

「ダメですよ、銀さん。僕達全く眼中にない感じです」

「オーイ、無視ですか。俺たちゃ無視ですか」

「ヤバイアル銀ちゃん!わたし達死んじゃったアルヨ!だから見えてないネ」

「え?そうなの?俺たち死んでたの?いつの間に?!」

「ほらよく言うじゃないですか、人の恋路を邪魔するやつは何とやらって」



外のうるさい声にも声にも負けず、妙ちゃんにににっこり笑いかける。
彼女も同じように笑ってくれる。






ああ、もう、
何もかもが輝いて見えて、
何でもできそうで、
何からすればいいかわからない!









他は見えないんです。