じくじく



「新八の恋ってどんな感じなんで?」



自分でもばかばかしいと思えるような質問をしていると気がついて
後悔している時にはもう口から言葉が出てしまっていた後だった。
彼は言われた言葉にきょとんとした表情を浮かべ、
そうして意味を考えるようにふんわりと口を開いた。


「う〜ん、どうって、甘いケーキみたいな感じですかね?」


話を聞くと要するに、彼が思うには甘い甘いケーキのような
ふわふわととろけてしまいそうな、そんな感じらしい。
彼の言う恋のイメージと自分の思っていた恋のイメージが
あまりにもかけ離れていたことに、少なからず落胆している自分がいて
彼に何を期待していたのか分からずおかしくなった。
新八の言葉にあいまいな表情を浮かべ、ふっと力なさげに笑みを落すと
彼は自分の恋のイメージを馬鹿にされているんじゃないのかと勘違いをして
顔を赤らめる。


「ちょっと、なんか僕が馬鹿みたいじゃあないですか。
 そういう沖田さんはどうなんです?」


照れたように早口でまくし立てる彼に「そうだなァ」と言葉を置く。
すっと手を伸ばし目の前にある彼の頬にそっと触れる。
思ってもない俺の突然の行動にびっくりした彼はぴくりと体を揺らし
不思議そうに俺を見つめていた。
指先の熱が広がって心臓まで届く。
じくじくと痛む心臓に新八の言葉が静かにしみた。


「沖田さんは?やっぱり甘いと思います?」




俺はさ、痛いもんじゃねぇかと思ってるんだ。








恋をすると胸が痛む。