| 気づいて、気づいて、好きになって 「世の中上手くいかないことが多いでさァね」 「ええ?!どうしちゃったんですか?いきなり」 思わず口にした言葉に彼が反応する。 熱でもあるんじゃないのか、くらいの勢いで彼はこちらを見てくる。 そんな珍しい事でもないんですけど、こうゆうことを考えてるのは。 けれど、それでも君が僕を見てくれたのは嬉しい事だ。 「メガネずれてますぜィ」 「ずれるかっ!」 いつもながら良いリアクションだ。 そんなこと考えた自分に心の中で笑った。 「なんでいきなりそんな悟っちゃったみたいなこと言うんですか」 「えー、本当のことだろう?」 「まぁ、たしかに一理ありますよね。・・・けど! でもそれを口にしちゃったら、なんかそれだけですべて諦めてるような気がするし」 彼が悩みながら言葉をつなげていく。 たった一言もらしただけなのに、彼は真剣に考えてくれる。 その声を聞き逃さないように聞いている自分。 彼の声が心地いいから目を瞑ると、寝ていると勘違いしたのか 自分から振っておいてと唇を尖らせていた。 まぁ、怒りなさんな、と手を伸ばし柔らかそうな髪の毛をくしゃっと撫ぜた。 思ったとおりの髪の柔らかさに驚いて、ふとあのチャイナや旦那も この柔らかさを知っているんだろうなと思うと、柄にもなく胸がチクリと痛んだ。 「うらやましいですぜ」 「本当にどうしちゃったんですか?」 本当に世の中、上手くいかないことが多い。 隣の彼は、自分の言葉に反応を示してくれる。 けれど、僕の気持ちに気づいてはくれないのだ。 気づいて、 気づいて、 好きになって。 |
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