「寝癖ついてますぜィ」



顔を合わせて、一言目にそれを言われた。


「本当ですか?!」


慌てて髪に手をあて相手の顔を見上げる。
何の表情も読み取れないその能面のような顔は悪びれる様子もなくこう言った。


「うそでィ」


いつの頃からか顔を合わせるたびに何故だか彼にからかわれているような気がする。
一見そんな人をからかって遊ぶようなタイプには見えないのだが。
何故なのかさっぱり見当も付かない。
恨めしそうにじっと彼を見るとたまらないといわんばかりにぷっと吹き出した。


「な、なんで、沖田さん、も、もしかしてからかってます!?」

「あんた限定でな」

「な、なんで?!」


驚くリアクションにあまりにも彼が心底おかしそうにクスクスと肩を揺らして笑うものだから
なんとなく恥かしくなりそれ以上何も言えなくなってしまう。
すっと伸びてきた彼の手のひらが頬に触れ、指の冷たさに身体が反応した。
冷たい彼の指先は恥かしさのあまり熱くなった頬を冷やす。
彼の思わぬ行動にまたからかわれているのだろうかと思い恐る恐る見上げる。
笑っていた彼の顔が何故だか泣きそうな顔に見えきゅっと胸が締め付けられた。




「つーか、マジで鈍いんですねェ」




彼はわからない事だらけなのだ。