| お呪い 「知ってました?」 そう問う彼のまるくなった瞳を見つめる。 新しい消しゴムに新しい鉛筆で好きな人の名前を書き、 誰にも気づかれる事なく使い切れば両想いになれる。 「って、姉上たちが言ってました」 「へえ、おまじないだね。占いとかそういうの好きだよね、女の子って」 机の上で無造作に転がっている消しゴムをなんとなく見つめた。 「使い切るのに結構時間を費やしそうだね」 「・・・確かにそうですね」 秘めた想いは密に託されて少しづつ削られていく。 そこにどれだけの想いが込められているのだろう。 僕はふと思い出したように口を開いた。 「新八君、知ってる?」 「何をですか?」 「おまじない、ってこう書くんだよ」 ノートにペンを走らせる、彼がその字を見て息を呑んだ。 『お呪い』 愛しい、恋しい、触れたい、自分のものにしたい。 様々な思いが渦巻く中で、それは行われているのだろう。 でも。ノート上の消しゴムを見つめる。 「相手の名前を書いた消しゴムを使い切れば両想いねぇ」 消えていく名前が、同時に自分の中にある相手への想いを、 相手自身の存在を、消していくようで。 「怖い・・・ですね」 同じように消しゴムを見つめる彼を見た。 「・・・そうだね」 自分のものにしたい |
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