白の世界




視界を占めた白。
今日の朝はいつもより特に冷え込んで、とうとう3時間目の授業中に空は白いわたを降らす。
薄く降り積もり授業が終わる頃には、茶色い地面を白の世界へと変えた。
クラスメイト達がはしゃいで校庭へ走っていく中、新八とオレはまだ誰も踏み入れていない校舎の間へ行く。
一見ふわりとしていそうなそれは、足を踏み出すたびにジャキッと音を立てる。
振り返って白い地面に自分と彼の足跡が並んでいるのを確認した。



「寒〜っ」



はーっと彼がはいた息も白く、空中を漂う。



「雪、積もってるからなァ」



答えるオレの息も白い。
彼が雪を軽く蹴る。その下から、茶色の地面がのぞいた。
何が嬉しいのか、この寒い中彼が無邪気に笑う。その横顔を眺める。


ああ、やっぱり彼を。


足を止め、ぽつりとつぶやいた言葉に彼が振り返った。



「ん?沖田さん、何か言った?」

「いや。なんでもねーよ」



首を傾げて、眼鏡越しの瞳が納得できないような顔をする。




聞こえない。届かない。
今は、雪が積もっているから。
彼に伝えたい気持ちは、積もった白に吸収されていく。








想いは降り積もり 溶けて しみこんで
いつか君に届けばいいのに。