| 知ってる? 「随分と派手にこけたもんだな」 買い物の帰り、銀さんと神楽ちゃんと川原沿いを歩いていると 黒い服の団体に出くわした。 ああ、やばいなぁ。 嫌な予感は的中し、案の定沖田さんと神楽ちゃんのじゃれあいが始まる。 毎度毎度、よくやるもんだと僕は呆れてため息を吐いて遠目からその光景を眺めていた。 とたん、 ドン、という強い衝撃の後バシャリという音共に下半身、おもにお尻のほうに冷たさを感じる。 きっと、沖田さんか神楽ちゃんのどちらかにぶっかって(が飛んできて) 川原に尻餅をついてしまったのだ。 両手は水の中で突っ張っていて、小石が手のひらを刺激している。 ああ、ですよね。 どうせとばっちりは僕に来るんですよね。 全然関係ないじゃないか、僕は。 半ば自暴自棄になり、ずぶ濡れになった全身を見ると自然にため息が漏れた。 「随分と派手にこけたもんだな」 上から降ってきた声はいつもとは異なった。 低く、どこか冷たげだ。 ぼんやりと声のほうへ顔を向ける。 周辺に、あのけだるそうな天パも、怪力な子供も、 やたらとでかい犬もいない。 「いつまで濡れているつもりだ」 川原の中に尻餅をついたまま、動こうとしない自分を軽く窘めるように言うと、片手を差し出した。 なんで、あなたが、とは聞かなかった。 いや、聞けなかった。 ふてくされたようにも見えるその人のもう一方の手では、煙草をふかしている。 早くしろ、と言いたげな彼の目をじっと見つめていると、ふいに細められたように見えた。 彼にしては珍しい行動に目を見張りながらも、おずおずとその手をとる。 想像通り、冷やりとした感覚が起こる。 しかし、嫌な気持ちはしない。 「何がおかしい?」 「いや・・・。なんでもないです」 知ってますか? 冷たい手の人は、心があたたかいんですよ。 上がっていく自分の手の体温が、彼の手にも伝わり、熱を帯びていった。 ヤマダびっくりの土新。 多分これっきりかと思われます。 |
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