(*学園パロです)




いつもより生徒の少ない帰り道、自転車を押しながら並んで歩く。
何か聞こえるものはと言えば、自転車のカチカチと車輪の回る音や砂利を踏みつける足音くらいだ。
歩く身体が揺れるたび、オレの肩と新八の肩が擦れ合う。
くすぐったい振動は居心地が良かった。



遠くの空に見えていた夕日が、山の谷間に沈む。
それに代わるようにして、広がる夜の紺色が辺りにじわじわ染み込んでいった。
そうして道脇を通りすぎる途中、ぽつんぽつんと街灯が点きはじめる。
オレはしばらくその様子を見つめていたけど、しばらく経てば普段のように、目線を新八の横顔に移した。



「すっかり暗くなるような時間に帰るのは、久しぶりですねェ」

「とりあえずお腹すきました」

「俺もでさァ」

「ですよねー」



進み、変わり続ける外の動きがゆっくりだから、オレたちの間に流れる空間もゆっくり移ろっているような気がした。
新八が欠伸をする。つられてオレも欠伸をする。
涙で少しだけ滲んだ視界の中で、彼はくしゃりと表情を崩して笑った。



「僕の欠伸がうつりましたか?」

「ああ、ばっちり」



ふわりとこぼれ落ちた笑い声が、二人の分だけ重なって浮きあがる。
オレたちが離れる分かれ道まで、あともう少しだった。



自転車の車輪の音は一定のリズムを崩さずに走る。
カチカチカチ。連なるように感情も一定のリズムで刻まれていく。カチカチカチ。
だけど大きさばかりは一瞬一秒膨れ上がるから、オレは呼吸をするごとにそれを実感するしかないんだ。
毎日毎日同じように過ごすだけなのに、どうしてお前のことばっかり特別になっていくんだろうなあ。









スローリー