好きだよ





妙ちゃんが家に来た。
門の所まで来てと欲しいと言われたので、高鳴る胸の音を押さえ
妙ちゃんの待つ、門まで行く。





「あ、九ちゃん。呼び出してしまってごめんなさいね」

「いや、気にしないで。それで、どうしたの?」

「これを、九ちゃんに」





薄紅色の胡蝶蘭。
微笑んで差し出す彼女、僕は感嘆の声をあげて受け取った。






「綺麗、っていうか可愛い花だね」

「株から育てて、ようやく花がついたの」





僕は手の中にあるその花を見つめる。





「育てるの大変だったんじゃないの?僕が貰っていいのかな?」

「ええ。九ちゃんに受け取ってもらいたくて育てたんだもの。
 胡蝶蘭の花言葉は『幸福が飛んでくる』って言うから。だから、九ちゃんに」






育てるのはきっと大変だっただろう。
けれど、ここまで育ててくれたのは、僕に渡したいという想いがあったから。






「妙ちゃん、ありがとう。・・・あ、」





悩んだ末に、僕は手の中から花を一輪抜き取ると、彼女の髪にさした。





「妙ちゃんにも『幸福』を」





彼女は嬉しそうに微笑んでくれた。





「ありがとう、九ちゃん」










妙ちゃん。
君は知らない?
胡蝶蘭の花言葉は、他にもあることを。





『あなたを愛します』






きっと、知らなかったのかもしれない。
それでも。
僕は自然に笑顔になってしまうことを止められなかった。














九妙。
知らず知らず、九ちゃんに『あなたを愛します』と
言っているお妙さんと、わかってて花をお妙さんに
差してあげる九ちゃん。
遠まわしに告白してる。
もう一つの花言葉を知らなかったお妙さんだけど、
それでも九ちゃんは嬉しかった。
みたいな話です。
(この解説がますます話を分かりにくくさせているような気が・・・)