| ストンと胸に おちてきて。 いつもの様に仕事に行くと、珍しく銀さんは起きていた。 部屋に入ると、ぐるりと中を見渡す。 本や新聞、雑誌が積まれている。 ゴミ袋の中は、様々な物が混ざって窮屈そうな様子である。 「もしかして銀さん掃除してるんですか?」 「まあなー、って何だその顔」 「だって、銀さんが掃除して、」 「なーに、俺だって掃除くらいするよ?」 とりあえず積まれた物を横に退かして座った。 彼はゴミ袋や雑誌類を部屋の隅に寄せるために、何度も移動する。 彼が運ぶ中に、ふと、目に付いたものがあった。 「あれ、銀さんジャンプも捨てるんですか?」 「あー・・・、何年か前のもあるからな。本当は取っておきたいんだけどね。」 そこまで言うと彼は辺りを見回した。 ああ、確かに。 取っておくとこの部屋はパンクするだろう。 おそらく、いや、きっと、彼がずっと大切にしてきた物たち。 今、ここに留めても、いつか手放さなくてはならないとわかっている。 それならば、初めから持たなければいいのに。 大切なものを、そのものに対する気持ちを。 ぼくの考えなど察知せず、彼は言葉を続ける。 「まあ、物として取っておきたいけど、内容はココに残ってるってわけよ、新ちゃん」 指で自分の頭をつついた後、僕の胸の辺りを指差した。 それから少し照れたように笑みをこぼす。 「何言ってるんすか」 気持ちを持たないことなんて、無理に等しい。 意識して、気持ちを持っているわけじゃない。 たとえ捨てたとしても、ぼくの中にそれは残っている。 そしてまた新しく、生まれてくるのだ。 くっさい銀さん。 新八がなんかやさぐれてるよ。 |
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