溶けてゆく




銀さんは僕より背が高い。
遠くにある肩を少し寂しいと感じてしまったり、
自分よりも空に近い彼をうらやましく思ったりする。
なので僕は銀さんを見上げなければ顔が見えない。
見上げると、だるそうにしている彼の目とかちりと合う。
そんな時銀さんは決まって、いつも笑いながら僕の名前を呼ぶのだ。
僕はそれが苦手だった。
「新八」と名前を呼んで、まるで太陽の様に笑う。
彼は僕を照らし焦がしてしまうつもりなのか。



「・・・銀さんが苦手」



そんな銀さんに対して僕は戸惑ったような表情を浮かべそう伝えると、
彼はなぜか嬉しそうに笑っていた。
目をひゅんと細めて、困ったように眉を下げ何かに焦がれるように
そして照れているような、そんな顔で笑う。
僕はいつもどうしていいかわからなくなってしまう。
胸が痛むのだ。
トクトクと心臓が溶けていくように。



「意識 してくれてんの?」



息が出来なくて、言葉にすることが出来なくて僕は泣きそうになる。
子供みたいに泣いてしまって、その大きな手のひらに包んでもらって
何もかも委ねて、甘えてしまいたい。
彼のこの笑顔を見るたびに、この胸は締め付けられて泣きたくなるのだ。
言葉で返す事が出来なくて、代わりに笑って彼を見上げる。
きっと僕は彼と同じような表情で笑っているのだろう。
触れてみたい、と初めて思った。
今はずいぶんと遠くにある彼の肩に、その大きな手のひらに。
彼も同じように僕に触れたいと思っているのだろうか。







意識しちゃうととたんに息苦しくなるもんだ。